第十七回 慶讃法要



 まだまだ、寒い時期が続きますが、ところどころ暖かくなってきました。
 ほとんどのお寺さんたちも、報恩講を勤め終わられたかと存じます。(当寺は3月22日に春の彼岸会をかねて、女人講報恩講があります)
 報恩講、お彼岸の時期が過ぎますと、京都御本山では毎年4月1日から5日まで、春の法要が執り行われます。
 4月1日は宗祖親鸞聖人の誕生日と伝えられております。これは新暦に合わせてた日で、文献には旧暦の5月21日になっております。
 このように、春の法要は毎年行われるのですが、今年は特別に、宗祖親鸞聖人御誕生八百五十年・立教開宗八百年慶讃法要が勤修されます。
 写真(上)の紫色の箱に記載してありますね。
 写真(下)の念珠は、今回の慶讃法要における御本山からの記念品です。御本山への御懇志を納めていただいた方全員にお配りするものです。※1、2

 今年は承安3年(1173年)宗祖親鸞聖人が松若丸として生まれてから850年になります。
 立教開宗(りっきょうかいしゅう)とは、読んで字のごとく宗派を開くという意味です。
 つまり、浄土真宗が始まって800年の記念法要となります。これらを祝ったのが、今回の慶讃法要です。
 慶讃法要の慶は(きょう)と読みます。「きょうさんほうよう」ですね。
 確かに普段は、けい、と呼びます。慶弔、慶事、慶福、慶祝とかあります。慶の意味は、めでたいこと、よろこばしいことです。
 「 きょう」、と読むときは仏教的意味が入ります。
 国語辞典によりますと、「仏様の功徳を喜び、ほめたたえる」となっております。
 功徳というのは、このコーナーのテーマです。日頃、お世話になっている仏様に感謝して、今、生かされている命の尊さをたたえるということです。

 「きょう」と読むときは、そういう特別な意味なのです。
 と申しても今ひとつピーンときませんよね。
 では、身近な話をしましょう。
 経という漢字があります。皆さん、どう読まれますか?
 一文字だとお経の「きょう」が浮かばれると存じます。
 ですが、神経、経験、経過、経歴のときは、「けい」と読みます。経は国語辞典では、すじみちをたどる、とおりみち、と説明されいます。
 経(きょう)は経典、仏様の不変の道理を記した典籍(てんせき)と説明されています。
 典籍とはことわりを記した書物のことです。ただ、普通の書物と違って、ありがたい、重要という意味が込められています。
 辞典の典という言葉自体が特殊なのですね。
 仏様の不変の道理、つまり、いつもと変わらない教え、お経というのは、どの時代でも変わらないのです。
 もともとは、インドの古代言語、サンスクリット語(梵語)でしたので、間に入った、数々の僧たちの解釈によって意味が違ってきたということです。
 私たちは、この仏様の教えを日々、受けていることに感謝をしなければなりません。

 御本山のパンフレットによりますと、
 慶讃法要は、宗祖親鸞聖人がお念仏の教えをあきらかにしてくださったことに深く感謝するご法要です。
 宗祖の仏法聴聞のお姿をとおして、お念仏の中で人と生まれたことの意味をたずねてまいりましょう。
 と書かれております。

 日程は、
 3月25日から4月8日 までが第1期法要
 4月15日から4月29日までが第2期法要

 その間の4月9日から14日までが讃仰期間となります。
 第1期法要、第2期法要期間中は、各寺院の団体参拝が行われ、落語家を呼んでの慶讃寄席が催されます。
 当寺は3月26日(日)、に団体参拝を行うことになっております。

 当寺も慶讃法要をいずれは、お勤めをしなければならないでしょう。
 平成二年、本堂再建を記念して、宗祖親鸞聖人御生誕八百年法要をさせていただきました。
 写真等資料が戦災で焼失した(本山には記録が残っています)ので、はっきり記せませんが、1930年代に御生誕七五○年法要がありました。今は西帰された先々代の言葉によりますと、御本山の法主(ほっす)も参列されたそうです。
 何にしても、昨年御遠忌を終えたばかりですが、慶讃法要をお迎えしなければなりません。
 時代が変わっても、お釈迦様、そして、その教えをあきらかにしてくださった親鸞聖人を教えを伝えることが、浄土真宗の寺院の務めだからです。
 今回は慶讃法要における御本山の御礼品とお言葉をもって、荘厳ということにさせていただきました。

※1 当寺の檀家(門信徒) 様へ

 今回は、当寺、宗祖親鸞聖人七百五十回御遠忌法要の御懇志をいただいたばかりでしたので、慶讃法要の御懇志は、月例教化(毎月お参りする)の家しかお頼みをしておりません。それでも充分、御本山からの割り当て分を御集めすることができました。皆様のご協力に感謝しております。なお、記念品を希望される方は、当寺まご連絡ください。受付をします。

※2 当寺以外の門信徒様へ
 真宗大谷派の寺院は、全国どこでも御懇志の受付をしております。記念品に興味がありましたら、お手次の寺院におたずねください。
 最寄りの寺院がない方は、直接、御本山に慶讃法要について、とおたずねください。
(075)371ー9212

御懇志の受付期限は本年6月までです