第三十回 四月の法要(一)

 今年も、4月1日から5日まで京都の御本山では春の法要が厳修されます。親鸞聖人は4月1日に生まれたと伝えられているからです。
 お東は新暦で法要をいたしますが、ほかの派では、旧暦でされるところがおおいので、5月21日ともなっております。
 さて、この4月には、もう一方、誕生日の方がいらっしゃいます。その方は、釈尊つまり、お釈迦様です。
 お釈迦様は4月8日にお生まれになりました。ですから、仏教の世界では、このお釈迦様の誕生日を灌仏会(かんぶつえ)と呼んで大切にしております。
 花まつり、という言葉を聞いたことがあるでしょうか。それが、この灌仏会のことです。
 灌とは注ぐと言う意味です。お釈迦様の小さな立像に、甘茶を注ぐ儀式をするところから、この名前がついております。

 このように、4月は特別な月ですので、法要をされるお寺もあります。
 当寺も、二年前の宗祖親鸞聖人七五○回御遠忌法要を記として、毎年4月の第4日曜日に法要を行うことにいたしました。
 4月の法要は、当寺にお骨を預けておられる方(皆様の御先祖)たちへの感謝という形の法要でしょうか。
 納骨法要という名前になっております。
 お骨の話は、あまり皆様方には気持ちのいいものではないと存じますが、ある程度辛抱願います。
 お骨は仏教用語では舎利(しゃり)と呼ばれています。サンスクリット語で śarīraと書きます。
 シャリどこかで聞いたことがありますね。お寿司とか
 語源はそこです。いつしか、白いお米のことをシャリと呼ばれるようになりました。(火葬した骨は白骨です)
 さて、本題に戻ります。このお骨を大切にするという考えは、仏教独自のものです。三大宗教の残り二つ、キリスト教とイスラム教には本来、お骨を大切にする考えは存在しません。
 それには、やはり、理由があるからです。
 お釈迦様はインドの方ですけど、そのお釈迦様が亡くなられたとき、弟子の人たちは大きな喪失感に見舞われました。
 弟子の人たちは、これから、どうしようとか話し合い、お釈迦様の一部を、それぞれ、自分の部族のところへ持ち帰ることにいたしました。
 持ち帰るといっても、生き物というのは生命がなくなると、くさってしまいます。そこで、火葬にして骨という形を取りました。この遺骨をお釈迦様自身として、あがめたてることにしたのです。
 遺骨を納めるために建築物が建てられました。それが仏舎利塔です。仏舎利塔はインドのあちこちに建てられました。塔という言葉にも語源があります。サンスクリット語でストゥーパ Stūpaと書きます。
 この仏舎利塔の教えは、インド以外にも広まっていきました。スリランカ、タイ、チベットなど。
 むろん、中国そして日本にも伝わりました。
 本来なら、舎利塔はお釈迦様の遺骨を安置するものですが、いつのまにか部族の長や高僧の遺骨を安置するものとなっていきました。
 そして、今では、遺骨を納める施設ということが周知されるようになりました。

 当寺にも、仏舎利塔を模したものが二つあります。境内の納骨堂と墓地内の永代供養塔(写真上)です。
 仏舎利塔の特徴は、建物の上部中央に、とがった細長い棒のような突起物(写真下)がそびえております。
 今、とがった突起物と説明をしましたが、相輪(そうりん)という名称があります。
 なぜ、相輪という名称かというと、細長く見えるものは本来は、輪が重なった姿だからです。
 また、てっぺんは少し膨らんでおり、その部分は、仏様の教えを表しているということで、宝珠(ほうじゅ)と呼ばれています。
 そこまでは、細工を細かくしてありませんので、たいていの相輪は遠くから見たら、丸っこいものがさきっぽについている、細長い棒のようなものにしか見えませんが。

 当寺も永代供養塔の方は、石造りですので、相輪の方は軽い彫り物ですが、写真の納骨堂には、はっきりとその特徴が現れております。
 こちらの相輪は、金属で造られており、きちんと輪っかのようなものが、重なっております。それも、九つありますので、文字通り九輪(くりん)と呼ばれています。  九輪と宝珠の間には、炎を模した彫り物があります。こちらは水煙(すいえん)と呼ばれています。
 塔関係の建物は、御本山にもありませんので、これ以上は説明ができませんが、仏教の大切なものの一つですから、いずれ、きちんと説明をしていきたいと思います。

 仏教のシンボルである法輪(ほうりん)と、お釈迦様の教えである相輪のお堂で、当寺も皆様方の大切な遺骨を納めております。その施設をきちんと運営するためにも管理料をいただいておりますが。
 そして、4月の第4日曜日には、この場所でも、お経を読ませていただきます。
 また、その日も報恩講同様、お説教師をお招きし、親鸞聖人、お釈迦様等の教えを、法話として参詣の皆様方にさせていただきます。
 一昔前は、当寺でも、法話は毎月御座いました。ですが、今のこの時代、皆様方も、様々な用事が多くなり、お釈迦様の教えを聞かれる方たちは少なくなりました。
 ですが、お釈迦様の教えは永遠であり、宝のようなものなのです。
 花まつり関係の行事がありますので、4月もまた、法要を行う寺は多くあります。
 そこではお釈迦様のお話もされます。お釈迦様の教えは日本に伝えられ、聖徳太子によって広められました。そして、全国に国分寺が建てられました。津々浦々、法話を聞く場所があるのです。
 是非、ご参集願います。