第三十三回 お内仏の荘厳(三)

 今回は②番目の宮殿御坊造(くうでんごぼうづくり)からです。
 宮殿御坊造は格好もいいですし、一番、お内仏らしい形かも知れません。宮殿御坊造のお内仏は、中尊(阿弥陀様)の大屋根を中心に左右に小さな屋根がついております。③番目の屋根造りの上位のものという形になってしまいますが、別格あつかいです。
 宮殿御坊造たる最大の特長は、真ん中の柱の数です。宮殿造り同様、十本あります。左右の屋根にも、脇掛(わきがけ、両尊ともいう)を囲むように四本づつありますから、計十八本です。
 正式な宮殿の前部と上部だけをクローズアップした造りにより、宮殿造のお内仏よりも大きな屋根、そして柱、装飾もほどよくされており、同幅のサイズでしたら、宮殿造よりも存在感があります。また、宮殿造よりも、一回り以上大きな本尊を飾ることもできます。
 ですが、お値段の方は宮殿造りより、だいぶ、お値打ちになっております。
 二つ目の特徴は、宮殿造までとはいきませんが、奥行きが深いことです。三方開きにも、適応できるような形になっています。
 ③番目の屋根造りは、三棟の通屋根の形になっている、すべてのお内仏をさします。
 柱の数が十四本、十本、中には八本のもあります。
 十四本のお内仏は、宮殿と脇掛との境の柱も兼用ということで、四本省略という形です。(写真上)
 一番、普及していますし、皆様方が頭に思い浮かべるような形ではないでしょうか。十本、八本のお内仏の中央は、宮殿の形ではなく、柱は、ただの三尊(中尊、脇掛)の仕切りの役割です。
 奥行きも、そんなに深くはありません。幅四尺(一尺は約30,3㎝)のお内仏でも、身を乗り出せば手が届きます。☆(十四本柱にも、奥行きが深いものが存在し、それも、宮殿御坊造と名付けている仏壇屋もあります)

 ④番目の平造りは言葉通り、造り付けのような平たい仏壇です。屋根があるとしても申し訳程度で、柱も八本です。前後の柱仕様でない四本の型も存在します。
  ですが、この平造りは、一番大きな三尊の軸をかざることができるのです。四尺もあれば、お二百(二百代の大きさの軸)もかけることができます。
 さて、今回は、この軸について説明をさせていただきます。本願寺では軸の大きさについて代という言葉を使います。二十代、三十代、五十代、七十代、百代、百五十代、二百代、三百代、五百代、七百代、一貫代とありますが、お内仏の三尊に使われるのは、二百代までです。
 二百代の幅は、縦80、5cm、横33.5cmです。三尊並べたら、それだけで一メートルの幅をとります。
 三尊、二百代の宮殿造りで七尺、宮殿御坊では五尺の幅がいります。
 あくまで、お内仏の寸法ですので、収納するためには、少なくとも、その1,2倍の幅(本三方開きなら倍)が必要となります。
 一応、ここで大きさについて述べておきます。
 二十代  縦20   横8.5
 三十代  縦27,2 横12
 五十代  縦31.5 横14.3
 七十代  縦40   横18
 百代   縦50.2 横22
 百五十代 縦67.4 横28
 二百代  縦80.5 横33.5
 三百代  縦98.2 横40.6
 となります。(単位:cm)
 旧家で一番よく見かけるのは、幅四尺から四尺半、軸百五十代、屋根造り(柱十四本)ですか。
 今回、紹介したサイズはあくまでも本山仕様(本山から受けた)のお軸です。一般普及品のものには、サイズが合わないものも存在します。
 本山の本尊には、お軸の裏には、写真(写真中)のように「方便法身尊形」(ほうべんほっしんそんぎょう)というお言葉と、当時の御門首印が押してあります。

 では、方便法身尊形について、簡単な説明をさせていただきます。まず、最初にこの方便というお言葉です。
 方便とは、いかようなときに使われる言葉でしょうか。あること、をわかりやすく説明するために、たとえ話をすることでしょう。
 もともと、この方便というお言葉自体が、仏教用語です。本当の仏様の教えを知ってもらうために、わかりやすいものや事柄を提示して、教えに導くということです。
 御仏、阿弥陀様のはたらきは、とても崇高で、不思議なものでありまして、言葉で簡単に伝えられるものでは御座いません。その、はたらきをわかりやすく説明するために木像や絵像の形を取っているのです。
 阿弥陀様のお姿、実際、阿弥陀様に、お姿というのは存在しないものなのですが、あえて、形としてあらわすことにしました。その形が、お釈迦様のお姿なのです。 お釈迦様には特徴がありまして、三十二相八十随形好(さんじゅうにそうはちじゅうずいぎょうこう)と呼ばれています。すぐにわかる32種の外見と、注意深く観察しないとわからない80の特徴です。
 今回の絵像(写真下)を見てください。髪の毛が青色で、ぶつぶつした髪型(俗に言う大仏頭)となっております。螺髪(らほつ)と呼び、仏典では「頭頂の肉が隆起しており、その形が髻のようである」と解説してあります。
 また、額には白いぽっちがあります。なによりも、金色に輝いています。
 これらは、三十二相の一つで、それぞれ、頂髻相(ちょうけいそう)白毫相(びゃくごうそう)金色相(こんじきそう)という名称があります。
 三十二相八十随形好に興味がありましたら、ネットで検索してください。細かく書かれております。

 また、前回、説明をしましたように四十八願をあらわす48本の線が描かれています。
手の指の形にも特徴がありまして、親指と人差指で輪を作っています。これを印相(いんそう)といいます。右の手のひらを胸の位置にあげ、左の手のひらを前に差し出しています。
 この形は、それぞれ、仏様の知恵をあらわす施無畏印(せむいいん)と慈悲をあらわす与願印(よがんいん)と、伝えられています。
 仏様は青い蓮華の台座(華座)の上にお立ちになっております。こちらも、大変重要な意味で、蓮の花が開く、つまり、悟りを開いた(仏様の世界に入った)お姿ということをあらわしているのです。
 ですから、この仏様のはたらきを、わかりやすく教えてくれた、本尊である阿弥陀如来の方便法身尊像に手を合わせ、合掌することで、自分も、仏様の教えを受けとめ、受け継ぐということになるのです。